司法試験勉強から学んだ、誰でも使える「深く考えるための論理的思考ツール」。
■振り返り。
前回と前々回、即答力について書きました。
ポイントをまとめると、
即答力を身につけるには、
・深く考える数を増やすこと
・深く考える癖を付けること
そして、深く考える格好の練習は、「文章を書くこと」。
■深く考えるための論理的思考の秘訣
今日は、深く考えるための論理的思考の秘訣を書きます。
この論理的思考を使って文章を書くのがベターですが、もちろん頭の中で考える時でも使えます。
即答力を身に付けたい場合に限らず、相応の根拠と論理を持った自分の意見を持つための思考法と考えて下さい。
では、早速。
■深く考えるための論理的思考の「型」
司法試験の受験勉強の中で、「論証パターン」というものがあります。
「ある論点(法律上争いのある点)について、自分なりの意見を述べるためのひとまとまりの文章」
くらいにイメージして下さい。
典型的な論証パターンは、以下の流れです。
(問題提起)◯◯という問題がある。
↓
(反対説の提示)この点、◯◯という考え方もできる。
↓
(反対説の批判)しかし、この考え方は、◯◯だから妥当ではない。
↓
(自説の理由付け)思うに、◯◯。
↓
(自説の結論)よって、◯◯。←ここは、ちゃんと問題提起に対応するような結論にする(問いと答えの一致)。
このように、ある問題を提起し、「この点」→「しかし」→「思うに」→「よって」と論理を展開します。
もちろん論理的思考の「型」はこれ以外にも山ほどあるはずですが、とってもシンプルで、分かりやすい「型」だと思います。
これが、深く考えるツールになります。
例えば、こんな感じで展開します。
(問題提起)
即答力を身に付けるにはどうすれば良いかという問題がある。
↓
(反対説の提示)この点、即答できるのは頭の回転が速いだけだという考え方もできる。
↓
(反対説の批判)しかし、そもそも、頭の回転のスピードというものはよくわからない。
それに、どうすればスピードを上げられるかもよくわからない。
頭の回転の速さで片付けるのは妥当ではない。
↓
(自説の理由付け)思うに、自分の好きなことだったり、過去に一生懸命考えたことは、自分でも即答できる。
反対に、考えたことのないこと、興味のないことは、全く即答できない。
つまり、頭の回転が速い人が全ての問題について即答できるのではなくて、要は、自分が興味を持って深く考えたことがあるかどうかが鍵となる。
↓
(自説の結論)よって、即答力を身に付けるには、日頃から興味を持って深く考える癖を付けることだ。
こういう具合です。
最初は「型」を意識して思考を進めますが、いずれ型を意識しなくても論理的な思考ができるようになっているはずです。
■自分の頭で考えることに意味がある。
受験時代、「人が作った論証パターンの丸暗記はダメだ!」とよく言われていました。
確かにそうです。自分の頭で考えた論理ではないので、深い理解が出来ていませんし、応用ができません。
毎回毎回レシピを見ながら何も考えずに料理を作っていても、料理の腕は上がりませんし、応用が効かないのと同じです。
ですから僕は、多くの論点について、自作の論証パターンを作っていました。
その際、上記のパターンを原則にして、それぞれのブロックに文章を入れていきました。
教科書で学んだことや仲間と議論したことを、このパターンで整理するわけです。
すると、「あれ、ここの論理が抜けてるな」「ここの論理が不十分だな」と気付きます。
その気付きは、人が作った論証を眺めていただけでは気付かなかった部分も多かったです。
そうやって、一見面倒ですが、自分で文章にすることで、深く考える訓練ができました。
大切なのは、自分で完成させること。
その、完成させるまでの過程こそが、深く考えということです。
例えば、ビジネス書を読んで学んだこと、人から聞いた為になる話、それらを丸呑みして受け売りせず、自分なりの論理に落としこんで理解する。
「誰かが深く考えてアウトプットしたもの」を借用しても、それは自分が深く考えたものではありません。
人の話や文章が説得力を持つのは、結論に至る過程です。
ワイドショーで誰かが言っていた意見をそのまま得意気に披露するオトナもいますが、結論がそれなりであっても、全く説得力がありません。
本に書いてあった名言を披露して「なんか良いこと言った感」を出す人も同じ。
今日ご紹介したツールを、是非一度試してみてください!