なぜあのお店は、雰囲気の良い人ばかりなのか。
■お店や会社から感じる「雰囲気」
お店や会社を訪れた時、
「このお店の店員さんは、みんな感じが良いなぁ」
「この会社の人は、みんな元気だなぁ」
反対に、
「このお店の店員さんは、みんな感じが悪いなぁ」
「この会社の人は、みんな表情が暗いなぁ」
という風に、そのお店や会社の「全体的な雰囲気」を感じることがありませんか?
もちろん、9割の感じの良い店員さんの中に1割の感じの悪い店員さんが居るというお店もありますが、「全体的な雰囲気や傾向」を感じることが多いです。
僕は、そういう雰囲気を感じる度に、どういう仕組みで全体的な雰囲気が作られるのだろうと考えていました。
■ある社長さんの話。
そんな中、先日訪問した会社の社員の方が全員礼儀正しくて驚きました。
思い切って社長さんに、「どういう教育をされたら、全員がああいう気持ちのよい応対をできるようになるのでしょうか?」と尋ねました。
すると社長は、特別な教育はしていない、とのこと。
ところがポツリと一言。「まぁ、(元々いる)社員がそうですから、新しく入ってきた人もそうなりますよね。雰囲気に合わない人は、続かないですよ。」
これには、「なるほど!」と思いました。
■既存の雰囲気が新しく入った人の雰囲気を決める。
お店や会社は、人が入れ替わります。
新しく入った人がお店や会社の雰囲気を決めるのではなく、既存の人が作ったお店や会社の雰囲気が、新しく入った人の雰囲気を決めてしまうんです。
元々居た人が感じの良い接客をしていれば、新しく入った人も同じようにします。
元々居た人が感じの悪い接客をしていれば、新しく入った人も同じようにします。
コミュニティに馴染むには、そのコミュニティの雰囲気に合わせることが大切です。
だから、新しく入った人が、そのコミュニティの雰囲気に合わせることは自然なことです。
この、「雰囲気に合わせる」ということは、良く言えば「これ位のレベルを求められる」、悪く言えば「この程度で許される」ということ。
白いキャンバスの上に、黒い絵の具が一滴落ちると凄く目立ちます。
それと同様、コミュニティの中で異質な存在で在り続けるということは、難しいことです。
「異質」というのは、優れているという意味ではありません。
そのコミュニティの雰囲気に合っていないという意味での「異質」です。
ですから、新しく入った人は、最初はその雰囲気に違和感を持ったとしても、いつの間にかそのお店や会社の雰囲気に染まってしまうか、居心地が悪くなって辞めるかだと思います。
そうやって、異質な存在が淘汰されていくことで、お店や会社の雰囲気は保たれていくのではないでしょうか。
雰囲気が保たれるということは、
良い方向に働けば、先ほど書いた会社のように、「雰囲気が良い状態」が保たれます。
悪い方向に働けば、「雰囲気が悪い状態」が保たれます。
■お客さんも雰囲気に吸い寄せられる。
雰囲気が良い・悪いというのは、好みの問題であり、主観的な問題。
あるお客さんは「ここの店員さんは凄く感じが良い」と思っても、別のお客さんは「感じが悪い」と思うということもあります。
感じが良いと感じたお客さんはまた来るでしょうし、感じが悪いと感じたお客さんはもう来ないでしょう。
ということは、雰囲気に影響されるのは、社員のみならず、お客さんも同じです。
結局、そのお店や会社の既存の雰囲気が、入ってくる社員、残る社員、来てくれるお客さんを決めていくわけですね。
ですから、長く残っている社員、長く来てくださっているお客さんというのは、単純に、そのお店や会社の雰囲気に合っているということ。
雰囲気を変えるためにやるべきことは、雰囲気を変えてくれるような優秀な人材を採ることよりも、まず既存の雰囲気を好転させることなのかもしれません。
ただ、既に雰囲気が悪くなっているお店や会社において、その旗振り役をする人がいるかどうかですが・・・。