【弁護士が教える、争わない交渉術#8】相手のタイプ別交渉術~のび太タイプ編~
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▼昨日、相手のタイプに合わせて表現をカスタマイズすることの重要性を書きました。
そして、ドラえもんのキャラクターに沿ってタイプ分けをしました。
今日は、のび太タイプへの対応方法を書きます。
▼人にはそれぞれ、
『行動を起こす動機』
があります。
ある人は人のために、ある人はお金のために、ある人は尊敬されるために、という風に。
タイプ別対応というのは、その人が行動を起こす動機にアプローチするということ。これをOKアプローチと呼びます。
簡単に言うと、お金重視の人には「いかに儲かるか」を話すということです。
反対に、そのタイプの人に対してしてはいけないアプローチもあります。
これをNGアプローチと呼びます。
では、のび太タイプへのOKアプローチとNGアプローチを見てみましょう。
<OKアプローチ>
▼のび太タイプのキーワードは、「楽」です。
のび太は、無欲ではありません。
むしろ、尊敬されたい、結果を出して認められたいという欲が強い。
だけど、如何せん、リスクを負ったり、相応の時間や労力を掛けたり、努力をする気持ちが高くありません。
▼だからこそ、「楽して結果を得られること」が、最大の行動動機になります。
他方で、やらないとマズイ(恥をかく、叱られる等)という恐怖も行動動機になります。
▼僕が推測するに、「楽して結果を得たい」と思っているのは、実は気の弱さの裏返しだったりします。真っ向勝負で負けるのが恐いのかもしれません。
だから、気が弱いので、やらないとマズイ状況だと行動に移すわけです。
▼OKアプローチ
①のび太タイプの納得を引き出すには、相手の負担が少ないこと、負担に比べて得られる成果が大きいことを強調します。
短期的な苦楽で考えてしまいがちなので、中長期的に見ると今やった方が楽ができますよ、というアプローチも有効です(但しかなり説得的な理由付が必要)。
正論や「べき論」は効果的ではありません。
②リスクが低いことを強調します(あなたに責任は及ばない等)
③それが難しい場合は、恐怖心を煽るしかありません。
「これをやらないと、こういうマズイことになりますよ」という風に。
④のび太タイプは、人には理解されにくい特技があります(あやとりや、どこでも寝られる等)。
そういう部分に気付いて評価すると、凄く喜んでくれます。
⑤本当は、「やればできるよ!」というアプローチも考えられます。
ただ、のび太自身が強いメンタルバリアを張っています。
そこを突破するのは、簡単ではありません。
パートナーなど、今後親密な付き合いが続くような間柄なら別ですが、同僚などならば、そこまで徹底的に向き合うのはしんどいでしょう。
<NGアプローチ>
▼人格否定は特にNGです。
「だからキミはダメなんだよ」
「仕事が遅い」
「しっかりしてください」
「いつもそうだよね」...etc
本人は、痛いほど分かっています。
分かっていることを言われると、人は腹が立ちます。
▼プレッシャーを掛けるのはNG
周りからすると、「やらない」ように見えても、本人からすると「やれない」のです。本当はやればできるのに、本人にとっては「やれない」のです。
ですから、「ちゃんとやってください」とプレッシャーを掛けすぎてはいけません。
プレッシャーを掛けると、目先のストレスから逃れるために後先考えず現実逃避するかもしれません。
逃げても何の解決にもならないのですが、のび太タイプにとって大切なのは「今」なのです。
ですから、「今納得を得る必要があることだけ」に集中しましょう。
<まとめ>
▼のび太タイプから納得を引き出すのは、実はなかなか難しいです。
他のキャラクターは、スネ夫ならお金や見栄、ジャイアンなら尊敬や地位、しずかちゃんなら平和や自分磨きのために、相応の行動を取ります。
しかしのび太は、そもそも行動を取ること自体が嫌なので、実は難しいのです。
だけど、のび太タイプに納得してもらわなければならないのなら、今回は多少こちらが負担を背負っても仕方ないと思って割り切りましょう。
正論を振りかざして頑なになられるより良いです。
▼のび太タイプ全開の人は、意外と周りにはいません。
だけど、多くの人の中に、のび太的な部分があると思います。
僕にももちろんあります。
ただ、のび太タイプで生きていくのはかなり困難なので、全開の人は少ないのだと分析します。
追伸
のび太は、あやとりの才能や、どこででも寝られる才能など、特殊な才能があります。
勝てる土俵さえ見つければキラリと輝く存在になれるのに、どうしても運動や腕っぷし、経済力、口喧嘩という土俵で勝負をしてしまっています。