【弁護士が教える、争わない交渉術#5】「正しいこと」を言っても相手が納得しない理由。
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▼あなたが交渉がうまくいかないと感じる場面、つまり、相手の納得を得るのが難しいと感じる場面はどういう場面でしょうか?
▼例えば。
(1)業務改善を求めたが、却下。
(例)・朝礼廃止を求めたが却下。
・手書き日報を廃止又はPCで打っても良いことにしたいと求めたが却下。
・人によって仕事に偏りがあるのでなんとかして欲しいと求めたが却下。
・人が足りていないので人を雇って欲しいと求めたが却下。
・PCが古くて動きが悪いので買い換えたいと求めたが却下。
(2)給料上げて欲しいと求めたが却下。
(3)パートナーに、買いたいものがあるとお願いしたが却下。
(4)パートナーに、もっと家事を手伝って欲しいとお願いしたが却下。
(5)親に、進学したいとお願いしたが却下。
▼ここで質問です。
相手の納得が得られないのは、あなたの主張が間違っているからでしょうか?
多くの人がそれを否定するでしょう。
「自分は、正しいことを言っている」と。
そしてこう言うでしょう。
「正しいことを言っているのに、なぜか納得してもらえないんです」
中には、「正しいことを言っているのに、納得しない相手がおかしい」と言いたくなる人もいるかもしれません。
▼ではもう1つ質問です。
あなたの主張が正しければ、相手は納得するでしょうか?
────答えは残念ながら、NOです。
▼『正しいこと→納得が得られる』は、誤りです。
少なくとも、「誤りだと思って」交渉に臨むべきです。
争わない交渉術を身に付けるには、まずここで頭を切り替えて下さい。
『正しいこと→納得が得られる』と思って交渉に臨むと、争いになる可能性が格段に高まります。
▼「正しいこと→納得が得られる」が誤りだと思う理由は2つあります。
①人によって「正しさ」が違う。
②正しいかどうかは関係ない場合がある。
<①人によって「正しさ」が違う>
▼例えば。
部下からすれば、「これだけ働いているんだから給料上げるのが正しい」。
社長からすれば「売上が下がってるから給料を下げるのが正しい。」
▼どちらが「本当に」正しいかではなく、見えている世界が違うということです。
▼そもそも「正しいこと」が人によって異なる以上、「正しいこと→納得が得られる」という論理は成り立ちません。
あなたにとっての正しいことが、相手からすれば間違っていることというのは、珍しくありません。
その理由は、そもそも価値観が違ったり、前提事実が違ったり、同じ事実でも捉え方が違ったり、どういう事実を拾って結論を出すかという道筋が違ったり、色々です。
▼100人いれば99人が正しいということでも、残りの1人が「それは違う」と思えば、その1人にとっては正しくないのです。
それが良いとか悪いではなく、そういうものなのです。
僕は、弁護士の経験、社会人の経験、その他人生経験で、そう思うに至りました。
もちろんこの考えも、唯一絶対の「正しい主張」ではありません。
<②正しいかどうかは関係ない場合がある>
▼例えば、次のような話は珍しくありません。
「あなたの言っていることはわかるけど、あなたの言うことは聞きたくない」
「言い方が気に入らない」
「素直に従うのは負けた気がする」
「今忙しいから、とりあえず現状維持」
「チャレンジが失敗して責任を取るのは嫌だからやらない」
「昔からこうやってきたから」
▼そう、納得するかどうかは、「正しいか・正しくないか」だけが基準ではないのです。
そこには、人間の色んな状況や感情が絡まってきます。
ですから、いくら自分なりの正しいことを言っても、伝え方やタイミングなどを考えなければなりません。
▼僕の考えを前提にするならば、「僕(私)は正しいことを言っているのだから、相手は納得すべきだ!」と突進するのは、合理的な交渉術ではありません。
ですから、「争わない交渉術」では、
✔ 「正しいこと→納得が得られる」という思い込みを捨てる。
✔ だから、正しさアピール一辺倒という交渉はしない
✔ その前提で、自分が正しいと思う主張に納得してもらう(=争わずに望むものを得る)ために、交渉術を使う。
▼では、具体的にどういう交渉術を使うのか?
一つの基本は、
「争わずに交渉を成功させる5W1H」
です。
▼今後1つずつ解説しますので、今日は概要だけ。
✔いつ?・・・交渉する時間帯、曜日、天気、交渉相手の様子など。
✔どこで?・・・会議室?家?公共の場?居酒屋?
✔誰が?・・・自分が言う?誰かに言ってもらう?誰かって、誰?
✔何を?・・・主張を全部言うのではなく、何を言うか選別。
✔なぜ?・・・主張の動機・目的
✔どのように?・・・メール?対面?書面?口調は?態度は?服装は?言い方は?
▼無限とも言えるバリエーションの中から、どれを選ぶか?
それは、
「相手の立場に立った時、どういう風に主張されると、納得しやすいか」
という基準です。
■メッセージ(全力で読ませていただきます)
「こういう場面で相手の納得を得るにはどうすればいいの?」
といったご質問をお寄せ下さい。
その他、気付き、考えたこと、疑問に思ったこと、感想等々、どしどしお送りください。