『手に負えなくなったらコーチング頼みます!』の落とし穴。
▼弁護士業をしていると、こう言われることがあります。
「自分の手に負えなくなったら、弁護士さんに相談します!」
コーチ業をしていると、こう言われることがあります。
「自分の手に負えなくなったら、コーチングお願いします!」
単に「結構です」と断るために仰っているのなら良いのですが、
●「手に負えている」→専門家は不要
●「手に負えない」 →専門家が必要
という単純化には、意外な落とし穴があります。
▼僕は歯医者さんから、
「定期的にメンテナンスに来てくださいね」
と言われますが、なかなか行きません。
そして、虫歯になったり親不知が何日もうずいてから、慌てて駆け込む。
なぜ定期的にメンテナンスに行かないのか?
それは、
「歯医者さんは、自分の手に負えなくなったら頼るものだ」
という価値観があるからです。
▼確かに、
「専門家は、手に負えなくなったら頼るものだ」
というのは分かりやすい基準です。
・大怪我をした/大病をした→医師を頼る
・裁判を起こされた →弁護士を頼る
というのは、手に負えなくなった典型。
あるレベル(例:ちょっと熱っぽい、ちょっとしたお金のトラブル)までは自分で何とかなると思うわけですが、あるレベルを超えると、「こりゃ自分では無理だわ」となるわけですね。
▼しかし、専門家を頼るべきは、「手に負えなくなった場合」だけではありません。
・手に負えている場合
・手に負えていると思っている場合
でも、頼るべき場合があります。
▼それは一体どういう場合か?
・困っているわけじゃないけど、より満たされた生活(人生)を送りたい
・自分でやるより、もっと効率的に成果を出したい場合
・自分でやるより、もっと質の高い成果を出したい場合
・将来のメリットを得たい・将来のデメリットを回避したい場合(そのために今投資をする)
いずれも、手に負えているか・負えていないかで言うと、負えています。
だけど、プラスαを目指す場合です。
コーチングは、正にこれです。
▼コーチは『目標達成と自己実現の専門家』だと考えていますが、目標達成や自己実現という分野で、「こりゃ自分では無理だわ」と思うことは、ほとんど無いと言って良いでしょう。
つまり、目標達成・自己実現という分野では、
「自分の手でまだ何とかなる」
「自分の手でまだやれることがある」
と考えることは少なくないわけです。
▼例えば、資格取得に向けて、毎日2時間勉強するという目標を立てたとしましょう。
ところが、
・朝やろうと思っていたら寝坊
・帰宅後やろうと思っていたらダラダラテレビを見てしまう
・なんとなく飲み会に参加してしまう
といった理由で目標が達成できない。
その時に、「こりゃ自分の手に負えない」とはなかなか思いません。
気を引き締めるとか、目覚まし時計を2個掛けるとか、目標達成に関する本を読んでみるとか、まだまだ自分の手に負えると思うわけですね。
▼別の例を上げます。
「毎日、なんとなく物足りない。もっとワクワクする毎日を送りたいな。」と思っても、忙しくしている内に一時的に忘れてしまいます。
そして、「仕事は大変なものだよね。毎月給料もらえているだけ幸せと思わなきゃ。」と自分に言い聞かせて、衝動にフタをします。
この場合も、「こりゃ自分の手に負えない」とはなかなか思いません。
▼極論すれば、そもそも目標達成・自己実現しなくたって、困らないことの方が多いでしょう。
例えば僕は、本を書きたいという目標を持っていますが、書かなくたって誰も困りません。
▼つまり、コーチングで扱う目標達成・自己実現という分野は、そもそも「手に負えなくなる」という事態は訪れにくいわけですね。
ですから、
「コーチングは、手に負えなくなったら頼るものだ」
と考えている限り、おそらくコーチングを頼る日は来ません。
コーチングは、「手に負えなくなったら頼るもの」ではなく、「手に負えていても頼る」「手に負えていると思っていても頼る」ものなんです。
▼「手に負えなくなるまで自分で頑張る」というのは、姿勢としては美しいですし、少なくとも今は専門家に費用を払わずに済みます。
だけど、自分でやれることって、限られてるんですよね。
クライアントの多くが、異口同音にこう仰られます。
「自分のことなのに、今まで知らなかったことがたくさんわかった」
「一人では気付けなかったことに気付けた」
これは、僕自身がクライアントとしてコーチングを受けていても思うこと。
▼ただ、コーチングを受けるには、お金と時間と労力が要ります。
ある人は、自分で手に負えているのにわざわざお金を払うのは、抵抗があるかもしれません。
ある人は、成果がでるかどうか保証されないものにお金を払うのは、抵抗があるかもしれません。
受けずに済めば目の前の出費を免れるので、それは大きいです。
だけど、それでも受ける人と、受けない人がいます。
価値観の問題なので、正しい・正しくないではありません。
それでも受けたいと思って頂けるかどうかは、コーチとしての実力でしょう。
▼僕は、「コーチングは絶対受けた方が良い」みたいな価値観を押し付けるつもりは全くありません。
ただ、一つだけ知って頂きたいのは、コーチングは、自分の手に負えなくなったら頼る存在ではないということです。
「コーチは、自分の手に負えなくなったら頼るものだ」という価値観だと、おそらくコーチを頼る日は来ません。
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