意識と行動で人生は好転する!

弁護士×プロコーチ×セミナー主催者のパラレルワーカー新井玲央奈のブログ。

【弁護士が教える、争わない交渉術#17】結論は後で言おう。




▼これまでご紹介した基本事項と記事一覧はこちら。 

争わない交渉術~基本ガイドブック~

 

 

弁護士が教える、争わない交渉術 カテゴリーの記事一覧 - 意識と努力で人生は好転する。
 

▼結論ファースト。

 つまり、結論を先に述べ、その後に理由・根拠を端的に述べなさいと言われることが多いです。

 

▼僕は一時期、交渉でも「結論ファースト」を実践していました。

 ところが、結論を述べた時点で相手がカッとなったり反論を始めてしまって、その後に話したい理由・根拠に耳を貸してくれないことがありました。

 

▼僕としては、

 「結論の後にちゃんと理由を述べますから、反論はそれを聞いてからにしてください!」

と思っていました。

 実際に、「今から理由を言いますから、とにかく最後まで聞いて下さい!」と言ったこともあります。

 僕としては、相手が反論してきそうなことも含めて色々考えて結論に至ったわけですから、とにかく聞いて欲しいんです。

 だけど今思えば、「とにかく最後まで聞いて下さい!」というのは僕の勝手な都合でした。

 話す順序が間違っていたのです。

 

「結論ファースト」が向かないのは、結論に対して相手の反発が予想される場合です。

 

▼反発したくなる結論を言われた時、あなたはどうしていますか?

 ・理由・根拠を聞かずに反論してしまいませんか?

 ・理由・根拠を聞かずに「もういい」と交渉を拒絶していませんか? 

 ・理由・根拠を聞くよりも、どう反論するかに気を取られていませんか?

 ・理由・根拠を聞くよりも、「何でこの人はわからないんだ」「何でこの人はこんなことばっかり言うんだ」という心の声が大きくなっていませんか?

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▼あなた自身は、ちゃんと理由・根拠を聞いた上で反論を考えて、冷静に反論するタイプかもしれません。

 だけど、理由・根拠をちゃんと聞かない人は少なくありません。

 そう、あなたの交渉相手が、理由・根拠をちゃんと聞いてくれる人だとは限らないんです。

 僕自身も、「ちゃんと聞こう」と意識していても、うまくいかないこともありますから。

 

▼「とにかく最後まで聞いて下さい!」というのは、理屈上は間違っていません。

 だけど、交渉相手は生身の人間。

 感情豊かな人間です。

 反発したくなるような結論を聞いてしまった以上、その後に続く理由・根拠を冷静に聞けないとしても、不思議ではありません。

 

▼ですから、結論に対して相手の反発が予想される場合は、結論ファーストではなく、理由・根拠ファーストがオススメです。

 理由・根拠ファーストにすれば納得を引き出せるとは限りませんが、引き出せる可能性は高まるでしょう。

 

▼相手が理由・根拠すらちゃんと聞いてくれない場合や、理由・根拠をしっかりアピールしたい場合は、文書やメールも向いています。

 ただ、文書やメールでは、どうしても冷たい印象を与えてしまったり、きつく見えてしまいます。

 また、微妙なニュアンスや雰囲気を伝えるのには向きません。

 ですから、使い方には注意して下さい。

 

▼話を戻して、理由・根拠ファーストの例を2つ挙げます。

 

①夫に家事を手伝って欲しい時。

 妻が「もっと家事を手伝ってくれないかな。その理由を3つ言うね」と切り出したら、夫はどう思うでしょうか?

 「もっと家事を手伝ってくれないかな」の時点で、「俺は仕事が忙しい」とか色々反論材料を探し始めるでしょうし、酷い時には「疲れてるんだから、そんな話は止めてくれ」と怒りだすかもしれません。

 

 そうではなく、家事を手伝って欲しい理由を先に言います。

 その理由も、妻の自己都合を並べるのではなく、夫のメリットや行動動機(価値観)に訴えかけるような内容にします。

 「なんで私ばっかり家事をやらなくちゃいけないの?あなたテレビ見てゴロゴロしてるだけじゃないの」といった類は最悪です。

 例えば、

 ・お風呂洗いを手伝ってくれれば、ご飯の支度がもっと早くできる。

 ・洗濯物を干してくれれば、外出の準備が早くできるから待たせなくて済む。

 ・小遣いを上げるから。

 こんな感じです。

 

②同僚に仕事を頼みたい時。

 「この書類を今日中に作って欲しい。理由を3つ言う。」はダメ。

 「この書類を今日中に作って欲しい」の時点で、断る理由を探し始めます。

 この場合も、理由・根拠ファースト。

 例えば、

 ・今度おごるから。今度手伝うから。

 ・この仕事をうまく処理できるのは○○さんしか居ないので。 

 

▼まとめ

 ・ 相手の反発が予想される結論を言う時は、理由・根拠ファーストで。

 ・ 理由・根拠は、相手のメリットや行動動機(価値観)に訴えかける内容にする。自己都合はNG。