【弁護士が教える、争わない交渉術#14】タイプ分析の方法の注意点。
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▼今日お話すること。
ドラえもんのキャラクターに沿ったタイプ別交渉術を書きましたが、
「自分が交渉する相手がどのキャラクターなのか見分けづらい…」
という反響を頂きました。
今日は、タイプ分析の方法について書きます。
▼のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、出木杉君、ドラえもん。
相手が当てはまるのは、一つではありません。
というより、実は、誰もが、全てのキャラクターを兼ね備えている気がしてなりません。
・怠け者で、意思が弱くて、楽して結果を出したい一面(のび太タイプ)
・周りに支配を及ぼして、好き勝手したい一面(ジャイアンタイプ)
・珍しい物、凄い物・肩書・スキル、権力などによって優越感に浸りたい一面(スネ夫タイプ)
・社交的で周囲と協調しつつ、信念や欲求に素直でありたい一面(しずかちゃんタイプ)
・周りがどう思おうと自分の好きな事に熱中していたい一面(出木杉君タイプ)
・人の幸せを自分の幸せと感じて貢献したい一面(ドラえもんタイプ)
あなたにも、ほとんど、あるいは全ての一面がありませんか?
僕は、全ての一面があります。
実はドラえもんに出てくるキャラクターは、誰もが持っている様々な一面が別々のキャラクターに投影されているのかもしれません。
▼そして、出やすいタイプはありますが、
同じ人でも、シチュエーション(コミュニティ、相手、役割など)によって出てくるタイプ(一面)が変わります。
それこそ1日の中でもコロコロと変わるんです。
これが、相手のタイプを掴みきれない原因です。
▼例えば。
・ 家では妻子を支配しようとする高圧的なジャイアンタイプだけど、会社に行くと社長という権力にベッタリのスネ夫タイプ。だけど社長の目の届かないところではやっぱりジャイアンタイプの人。
・ 自社ではワンマン社長ぶりを発揮するジャイアンタイプでも、自社より大きな会社の社長と接する時はスネ夫タイプという人。
・ 会社ではやる気のないのび太タイプでも、休日は趣味のアウトドアで周囲の尊敬を集める出木杉君タイプという人。
・ 普段は部下に対して支配的なジャイアンタイプでも、いざ助けて欲しい時になるとあの手この手を使って逃げようとするスネ夫orのび太タイプという人。
・ 会社では萎縮して発言できないのび太タイプでも、お店では店員さんに強気に出るジャイアンタイプという人。
・ 男性社員の前では明るくて礼儀正しいしずかちゃんタイプでも、女子会や給湯室では毒舌のスネ夫タイプという人。
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▼このように、多面性があるのが人間です。
ただ、こう書いてしまうと、
「じゃあ一体、どのタイプ別交渉術を使えばいいの!?」
と混乱しますよね。
▼それについては、
「自分が交渉するシチュエーションで、相手の表に出てくるタイプに合わせる」
という答えになります。
▼あなたが交渉するシチュエーション以外のところで、相手がどういう一面を見せているか。
これを分析するのは途方も無い作業であり、限界があります。
▼ですから、あなたが交渉するシチュエーションに絞ります。
例えば、ワンマン社長に「人を増やして欲しい」とか業務体制の改善を求める場合。
そのワンマン社長が、たとえ他のシチュエーションではスネ夫タイプやのび太タイプであっても、
「会社ではどのタイプが表に出るか?」
もっと絞って、
「あなたとの関係ではどのタイプが表に出るか?」
を考えて下さい。
そして、そのタイプに合わせた交渉術を使って下さい。
あなたとの関係でジャイアンタイプならば、他のシチュエーションでスネ夫タイプだろうと、ジャイアンタイプとして交渉しましょう。
▼「自分が交渉するシチュエーションで、相手の表に出てくるタイプに合わせる」
では、どういうタイプが表に出てくるのか?その分析の方法です。
▼これは、『相手を観察すること』に尽きます。
▼観察の主なポイントを挙げますが、意識的に観察していれば、分かってくるはずです。
① 人によって態度を変えるか?(どう変えるか?)
② 口癖は何か?
③ どういう時に喜ぶか?/不快になるか?
④ どういう時に動くか?/動かないか?
⑤ 自分(=あなた)に対する態度はどうか?
⑥ 何を恐れているか?
▼観察を続けていくと、その人の基本的なタイプが分かります。
先ほど、「同じ人でも、シチュエーション(コミュニティ、相手、役割など)によって出てくるタイプは変わります」とお話しました。
ただ、出てきやすい「基本タイプ」はあります。
▼基本タイプを分析した上で、自分が交渉するシチュエーションで表に出てくるタイプを分析してみてください。
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▼最後に。
ここまで読んで、周りの人を何人か思い浮かべて、「あの人は何タイプかな?」と考えてみましたか?
ところが、うまく当てはまらない相手も多いのではないのでしょうか?
それは僕がやってみても同じです。
▼その理由は、多くの人は、社会生活を送る上でバランスを取っているので、ハッキリとした個性が見えにくいからです。
ですから、タイプ分析がし易い相手というのは、自分との関係で、個性(タイプ)が強く出ている相手に限られてくるでしょう。
そして、そういう相手こそが、個性が出ている故に、交渉が難しいと感じる相手なんです。
例えば、社長や上司は、個性が出やすい。
また、彼氏彼女・夫婦の間柄というのも、個性が出やすい。
▼ですから、タイプ分析は、「誰に対しても的確に当てはまる」というわけではないので、無理に分析しようとして「訳分かんない!」とならないようにしてください。
自分との関係で、個性が出やすく、交渉が難しいと感じる相手にこそタイプ分析を行ってみて下さい。
▼そういえば、「藤子・F・不二雄の発想術」は面白かったです。
ドラえもんの生みの親が、何を考えていたか?