(旧)意識と行動で人生は好転する!

弁護士×プロコーチ×セミナー主催者のパラレルワーカー新井玲央奈のブログ。

【弁護士が教える、争わない交渉術#7】相手のタイプ別交渉術~あの人は、何タイプ?~

▼これまでご紹介した基本事項と記事一覧はこちら。 

争わない交渉術~基本ガイドブック~

 

 

弁護士が教える、争わない交渉術 カテゴリーの記事一覧 - 意識と努力で人生は好転する。
 

▼争わずに交渉を成立させるために不可欠なこと。

 それは、相手のタイプに合わせて表現をカスタマイズすることです。

 これは、「主張したい内容そのもの」をカスタマイズするのではなく、「主張したい内容そのものをどう伝えるか」という話です。

 

▼前々回書いたとおり、「正しいこと→納得が得られる」は誤りです。

 ですから、いくら(自分が思う)正しさを強調しても、納得は得られません。

 そこで、結論としては同じことを主張するのですが、相手のタイプ次第でどう伝えるかが大事になります。

 

▼今日お話することを読むと、

 「なんでそこまで相手に合わせなきゃいけないの?」と思うかもしれません。

 「なんで」の答えは、「望むものを得るため」です。

 交渉の目的は、相手の納得を得て、自分が望むものを得ることにあります。

 交渉は、「手段」に過ぎません。

 交渉のテクニックとして相手に合わせるというのは、相手の信念や考え方に賛同するという意味ではありません。

 

▼もし、「相手に合わせてまで納得してもらわなくて良い」と思うならば、

 ・得たいと思っていたものを断念するか

 ・別の交渉術を使うか

を選択する必要があります。

 

▼ただ、僕がご紹介するのは、「望むものを得るためなら手段を選ばない」みたいな極端なことではありません。

 「望むものが得られるなら、これ位なら合わせるのはアリかな」と思えるレベルだと考えています。

 特に、自分が望むもの(=目的)が大きければ大きいほど、「これ位なら、アリかな」と思えるはずです。

  

▼どこまで相手に合わせるかは、人それぞれの価値観やケースによって変わります。

 ただ、「交渉は、手段である」ということは必ず意識して下さい。

 言い換えれば、「合わせるのは気に食わない」という感情論に陥らないようにして頂きたいのです。

 交渉は目的達成の手段ですから、「手段として良いのか、悪いのか」という次元で判断して頂きたいのです。

 交渉は手段であって、目的ではない。

 ここをしっかり意識しておかないと、何のために交渉しているのかわからなくなります。

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▼話を戻しましょう。

 争わずに交渉を成立させるためには、相手のタイプに合わせて表現をカスタマイズすることが不可欠です。

 

▼これは、実はあなたが日頃からやっていることです。

 あなたは、「あの人は怒りっぽい人だから、こういう言い方はやめておこう」と考えながら言い方を工夫したことはありませんか?

 今日ご紹介する交渉術の基本は、それと同じ。

 それを意識的に、そしてもう少し緻密に使うわけです。

 

▼人には色々なタイプがあります。

 色んな分け方がありますが、分かりやすくドラえもんのキャラクターに例えてみましょう。

 必ずどれか1つに当てはまるというよりは、いくつかのタイプが合わさっている人が多いので、「傾向としてどのタイプが強いか」ということです。

 

①のび太タイプ

 他責、誰かになんとかしてもらおうとする、短期的思考、手っ取り早く結果を出したい、自分より弱い人に滅法強い、特殊技能を持っている、マイペース、やる時はやる、リスクを冒そうとしない、失敗が恐い、面倒くさがり屋、怠惰、先延ばし癖...etc

②ドラえもんタイプ

 困っている人を放っておけない、押しに弱い、面倒見が良い、利益誘導されやすい(どら焼きを差し出されるとクラっといくから。)、権力に興味が無い、協調性がある、縁の下の力持ち、普段人のために動いているだけに褒められると弱い...etc

③ジャイアンタイプ

 尊敬されたい、都合が悪くなると論理や根拠を無視して怒鳴ったり暴力を振るう、指図されたくない、自分の欠点を指摘されると怒る、優位に立ちたい、目上の人には弱い(ジャイアンはお母さんに弱いですね)、良くも悪くも感情的、男気がある、こうだと思い込んだら推進力を発揮する、他責...etc

④スネ夫タイプ

 ズル賢い、都合が悪くなると責任転嫁する、経済合理性で動く、虚勢を張る、権力や力が強い側に立つ、自分の利益を最大化することが関心事、状況把握が早い、口が巧い、交渉が巧い(ドラえもんにどら焼き渡して道具を借りたりしますね。)、自慢の裏にコンプレックスがある...etc

⑤しずかちゃんタイプ

 平和主義、意外と現金、弱い者の味方、健康が大事、美しいものに目がない、言う時は言う、権力やお金に左右されにくい、自分が好き、自分の欲求に素直、協調性を好む、物怖じしない...etc

⑥出来杉君タイプ

 賢い、エリート、暴力や権力に頼らない、金欲より知識欲、打たれ弱い、嫌われにくいが近寄りがたい、中立的、感情的な判断をしない、理由や根拠を求める、弱みを見せない、一人でもやっていける...etc

  

▼以上の特徴を前提に、ジャイアンタイプへの戦略を考えてみましょう。

(OK)

 ・態度も話し方も下から行く。

 ・こういう決断や行動をしてくれれば、あなたはもっと尊敬されますよという未来をイメージしてもらう(逆に、決断や行動をしないと、周りから尊敬されなくなりますということを暗に示す)...etc

(NG)

 ・相手が間違ったことを言った時に、指摘する。→大勢に影響しないなら指摘しないほうが良い。指摘するとしても、人が見ているところでは止めた方が良い。

 ・恥をかかせる。面子を潰す。

 ・理屈で追い詰める。...etc

 

▼ある案件で困っていて、ジャイアンタイプの先輩に手助けをお願いする場合を考えてみましょう。 

「お忙しいところすみません。他の方にはなかなかご相談できないのですが、先輩なら分かってくださると思って。 

 僕が担当の株式会社□□のYさんなのですが、言うことが二転三転したり、無茶な値下げを言ってきたりして、困っています・・・。

 先輩、以前Yさんとやりとりされていて、スムーズにされていましたよね?

 部長も、この前の懇親会の席で、『あのYさんとうまくやるなんて、流石だ』と褒めておられましたよ。

 もし良ければ、先輩に、Yさんとの窓口を務めていただけませんか?

 実務は僕がやりますので。

 窓口になっていただくだけでも、Yさんの対応はかなり変わると思います。

 Yさんに好き勝手言わせないようにするのは、先輩にしか無理だと思うんです。お願いします!」 

▼解説

 かなりあからさまなのでお分かりかと思いますが、何点か解説します。

 ●「他の方にはなかなかご相談できないのですが」

 →あなたを尊敬しているからこそ相談するというアピールです。

  「誰でも良いのですが」と言われて気持ちが良い人はいません。

  特にジャイアンタイプは尊敬されたいので、「あなただからこそ」に弱いのです。

 ●「Yさんには困っています」

 「先輩、以前Yさんとやりとりされていて、スムーズにされていましたよね?」

 →自分はYさんに手を焼いているのに、先輩はうまくやっていたというギャップを明らかにすることで、先輩の力を賞賛。

 ●「部長も、あのYさんとうまくやるなんて、流石だと言っておられました。」

 →人は、本人(ここでは部長)から直接聞いたことより、人づてに聞いたことの方を信じやすい傾向があります(ウインザー効果)。

  これを使いました。確かに、こういう風に言われると嬉しいですよね。

 ●「Yさんとうまくやるのは、先輩にしか無理だと思うんです。」

 →ジャイアンタイプは、「皆が助かる」「私が助かる」というより、「そんなことができるあなたは凄い」と言われる方が響きます。

 

▼窓口になって欲しいというのは、先輩にとっては手間の増えるお願いです。

 面倒くさがり屋ののび太タイプなら、この交渉の仕方では応じないでしょう。

 ところがジャイアンタイプは、面倒くさいよりも、自分が尊敬される方がメリットがあるので(断ることで小さい人間だと思われるのが嫌なので)、引き受けてくれるでしょう。

  

▼いかがでしょうか?実際は、こんな長々と一気に話せるわけではありませんが、相手との会話の中でちりばめるべきフレーズはご理解いただけるかと思います。

 ちなみに、先ほどの交渉で話していたことは、全て真実です。

 嘘は何もついていません。

 何を、どう表現するか、ということです。

 

▼まとめ

 今日のポイントは、『相手のタイプに合わせて表現をカスタマイズすること』です。

 前提として、相手のタイプを分析することが不可欠です。

 同僚、パートナー、友人、家族等なら、既に分析が可能なはずです。

 やり過ぎると嫌味や皮肉に聞こえてしまうので、あくまでもさり気なく、ぜひ試してみてください。

 

▼参考文献