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(旧)意識と行動で人生は好転する!

弁護士×プロコーチ×セミナー主催者のパラレルワーカー新井玲央奈のブログ。

【弁護士が教える、争わない交渉術#6】いつ交渉をするか?~争わずに交渉を成功させる5W1Hの「When」~

▼これまでご紹介した基本事項と記事一覧はこちら。 

争わない交渉術~基本ガイドブック~

 

 

弁護士が教える、争わない交渉術 カテゴリーの記事一覧 - 意識と努力で人生は好転する。
 

▼これまでは「基本となる考え方」の話が多かったのですが、今回から具体的な交渉術をご紹介します。

 

▼前回ご紹介した「争わずに交渉を成功させる5W1H」から、今回は

 「いつ(When)交渉をすれば、相手の納得を引き出しやすいか」

をご紹介します。

 

▼今日のポイントはこれに尽きます。

 「相手にとって好ましい状況で交渉をする。」

 相手を無理矢理納得させる(=説得する)のならば、相手に考える隙を与えないとか、思考を鈍らせるという手段が必要なのでしょうが、争わない交渉術は、あくまでも相手の納得を引き出す交渉術です。

 ですから、「相手にとって好ましくない状況」というのは、むしろ障害になります。

 相手に時間が無い、余裕が無い、心がざわついている、集中できない。

 全て争いの種になりますから、極力排除します。

  

▼相手にとって好ましい状況で交渉をした方が承諾率が上がるという実験結果があります。

 リチャード・E・ベティという方が、大学生たちを4つのグループに分けて「授業料を値上げすべきだ」という説得を行いました。

 結果、一番承諾率が高かったのが、

 ①心地よいクッションに寝そべらせて聴かせた学生

 続いて、

 ②硬いソファに寝そべらせて聴かせた学生

 ③椅子に座らせて聴かせた学生

 ④立ったまま聴かせた学生

という順番で承諾率が下がっていきました。

 この結果から、同じ内容でも、好ましい状況の方が納得しやすいことがわかります。

 

▼では、相手にとって好ましい状況とは何でしょうか? 

 これには、こちらが操作できない状況と、操作できる状況があります。

 ●操作できない状況

  ①時間帯やタイミング

  ②天候

 などがあります。

 操作はできませんが、好ましい状況を選び、好ましくない状況を避けることはできます。

 ●操作できる状況

  ①飲食をしながら話す(ランチョンテクニック)

  ②座り位置

 などがあります。

 順に見て行きましょう。

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<操作できない状況ー①時間帯やタイミング>

▼納得を引き出すには、会話をする時間と気持ちの余裕が必要です。

 ですから、時間的・気持ち的な余裕がない時間を避け、それがある時間やタイミングを狙う必要があります。

 

▼会社の場合

・出勤直後は×

 出勤直後は「やるべきこと」で頭がいっぱいで余裕がなく、話を聴く体勢ではありません。少し間を開けましょう。

・退勤前は△

 「今日も一日終わった」という感じで聴く体勢がある人もいます。

 ただ、

 その後に予定があったりして「早く帰りたい」という気持ちがある場合

 頭が疲れていて判断できない場合(そういう時はだいたい現状維持に落ち着いてしまう)

が多いので、あまりお勧めしません。

・外出直前・会社に戻った直後は×

 バタバタしていますから、そういう時に「あのー、話が」と言うと、「忙しい時に!」と言われます。

・社長などは、給料前や決算前はピリピリする方が少なくありません。

・午前中は理性の時間で、午後は感情の時間といわれます。

 相手にとってあまり望ましくないことを求めるならば午前が良いでしょう。

 反対に、情に訴えるような話ならば午後が良いでしょう。

 これは、朝は交感神経優位で午後以降は副交感神経優位になるからだと思います。

 交感神経優位だと頭がシャキっとしていて、副交感神経優位は感情が優勢。

 夜中に書いたラブレターを朝読み返すと赤面するのはこの影響です。

 メールも、夜に感情的になって送らない方が良いですね。

 ・仕事が立て込むと一気に余裕がなくなる人がいますので、観察が必要です。

 

▼家庭の場合

・会社の場合と考え方は同じですが、パートナーの帰宅直後や出勤直前は避けた方が良いでしょう。

・家庭によっては、給料前はピリピリするかもしれません。

・夜は感情的になりやすいので×。 

 

▼その他

 ・前の日に遅くまで飲んでいた様子ならば、午前中は避けたいところです。

 ・携帯電話は、相手の状況が全く分かりません。

 「状況が悪ければ、電話に出ないからいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、電話が鳴ると少々状況が悪くても出る人は少なくありません。

 ですからまずは、「今、お時間よろしいですか?」と尋ねます。

 もしそこで相手が「良いですよ」と言った場合は、相手は電話を切りにくくなります。

 あるいは、声色から、「あ、今余裕なさそうだな」と思ったら、「お忙しそうですので、後でまた掛けます」と言います。 

 弁護士として交渉するような場合、相手にとっては電話を切ってしまいたいような話もします。

 その時に、最初に「良いですよ」と言ってもらうことで、時間を理由に電話を切るというカードを切らせないようにします。

 そうしないと、相手に都合の悪い話を始めた途端、「今、手が放せないんで」と切られてしまいます。まぁ、「今話して良いですよ」と言ってもブチッと切る方もいますが。

<操作できない状況ー②天気>

▼アメリカの心理学者カニングハムが、様々な天気の日に、野外で人に頼み事をする実験を行いました。

 結果、暑い季節も寒い季節も、晴れの日に承諾率が高いことが分かりました。

 

▼確かに、雨でドヨ~ンとしている時より、晴れて気持ちが良い時の方が相手を受け入れやすいですね。

 

▼さすがに天気まで気にする人は少ないかもしれませんが、知っておいて損はありません。

 急ぎの交渉でないならば、晴れの日を待ちましょう。

 <小括>

 結局、時間帯や天気などはある程度一般化できても、大きいのは、相手の性格やライフスタイルです。

 よく観察して、相手にとってのグッドタイミングを見つけて下さい。

<操作できる状況ー①飲食をしながら話す(ランチョンテクニック)>

会社でも家庭でも、飲食をしながらだと、納得を引き出しやすくなります。

 食事による「快体験」による影響や、食事中は警戒心が下がることが影響するからです。

 これをランチョンテクニックといいます。 

 確かに、美味しい食事をしながら暗い話をする気になりませんよね。

 

▼昔ながらの接待も、これですね。

 人は、何か施しを受けるとお返しをしなければいけないという心理になるので(返報性の原理)、接待はその意味でも合理的な交渉術なのでしょう。

 

▼上司に何かお願いごとをする時、パートナーに頼み事をする時など、相手の納得を引き出したい時は、ランチや飲みに誘ったり、美味しい食事をしながら交渉してみてください。

<操作できる状況ー②座り位置>

▼Whenとは少しずれるかもしれませんが、飲食の話が出たのでこれもお話します。

 

座って話をする時は、真正面に座るのは対立をイメージさせる座り位置です。

 裁判でも、原告代理人と被告代理人、検察官と弁護人は真正面に座ります。

 ですから、相手の心理的抵抗を招かないために、正面は避けましょう。

 

できれば横並びの席が良いです。

 人は、距離が近い相手に親近感を抱きます。

 特にパーソナルスペース(容易に身体に触れることができる距離、つまり0~45センチと言われます)に入った状態だと、かなり近いです。

 横に座ると自然と近くなるので、親近感を抱いてもらいやすくなります。

 親近感を持ってもらえれば、話を聴いてもらいやすくなりますし、納得を引き出しやすくなります。

 飲食しながらが良いと書きましたが、横並びで飲食をすると良いでしょう。

 

▼もちろん、人によってパーソナルスペースの広さは違うのと、嫌な相手が近づくのは逆効果ですから相手を見極めて下さい。

 

▼余談ですが、モテる男子・女子は、パーソナルスペースにさり気なく入るのが巧い気がしますね。

<まとめ>

▼結局のところ、相手の立場に立った時、どういう時に交渉されると納得しやすいかです。

 その答えが、「相手にとって好ましい状況で交渉をする」ということ。

  自分に当てはめて考えても、イライラしている時は許せないことでも、気分が良いと許せたりしますよね。

 

▼時間帯や天気など操作できないものもありますが、合わせたり避けたりすることはできます。

 また、相手の性格やライフスタイルを観察することで、「今は交渉してはいけないタイミングだな」「今ならいけそうだな」と合わせることもできます。

 そして、操作できる状況で、相手にとって好ましい状況を創ります。

 

▼もちろんこれは確率を上げるためのものなので、絶対ではありません。

 ただ、どうせ交渉するなら、試してみる価値はあります。

 

▼参考文献

 

■メッセージ(全力で読ませていただきます)

 「こういう場面で相手の納得を得るにはどうすればいいの?」

 「ここがちょっと分かりづらかった」

といったご質問をお寄せ下さい。

 その他、気付き、考えたこと、疑問に思ったこと、感想等々、どしどしお送りください。