■振り返り
昨日、人にはそれぞれ行動原理があるということを書きました。
相手の行動原理が何かを把握し、相手の行動原理を基準に見れば、相手の行動を理解できます。
ただし、相手の行動原理を「理解する」ということは、「賛同すること」ではありません。
重要なのは、
『相手の行動原理を変えることではなくて、相手は相手の行動原理で動いていることを前提に、自分がどうするかを考える』
ということ。
■自分はどうするか?
仕事でもそれ以外でも、行動原理が違う相手に動いてもらわなければならない場面があります。
その時に、自分の行動基準をストレートにぶつけて、「こうすべき!」「こうしないのはおかしい!」と憤ったり、相手の行動基準を変えようとするのは、途方も無い消耗戦です。
相手の行動原理に反してゴリ押しして、表面上相手を動かしても、相手の反発を招くだけです。
そこで自分はどうするか?
それは、相手の行動原理に応じたアプローチをするということです。
■乗客を海に飛び込ませるには?
こういう話をご存知でしょうか?
色々な民族の人が乗った船が沈没しそうになった時、乗客を海に飛び込ませるには、何と言えばいいか?
イタリア人「海で美女が泳いでます」
フランス人「決して海には飛び込まないでください」
イギリス人「こういうときにこそ紳士は海に飛び込むものです」
ドイツ人「規則ですから飛び込んでください」
アメリカ人「今飛び込めば貴方はヒーローになれるでしょう」
日本人「みなさん飛び込んでますよ」
■ここから学ぶ、行動原理。
この話が正しいとかそういう話ではなく、行動原理という概念を理解するという意味で、上記の話を前提に書きます。
この話から分かるのは、「乗客を海に飛び込ませる」という目的は同じ、つまり、相手に求めていることは同じなのに、これだけアプローチが違うということ。
「みなさん飛び込んでますよ」というアプローチでは、日本人は動くけれど、他の人は動かない。
フランス人に対して「みなさん飛び込んでますよ」と言ったところで、「だから?」と返されるでしょう。
それに対して、「いや、みなさん飛び込んでるですよ!だから飛び込まないのはおかしいでしょっ!!」と憤っても仕方無いわけですね。
ところが、「決して海には飛び込まないでください」とアプローチすれば、飛び込んでもらえるわけです。
■実社会での応用。
これと同じように、現実社会でも、たとえ目的(=相手に求めていること)が同じでも、相手によってアプローチを変えなければなりません。
相手の行動原理は何でしょうか?
お金?権威?プライド?社会性?効率?人情?責任?時間?成長?労力?
どれか一つということではなく、「どの行動原理が大きいか」と考えます。
もし皆さんの周りに、皆さんの行動基準から見れば理解できない人がいたら、
① その相手の行動基準は何かを考えてみてください。
② 次に、その相手に動いてもらわなければならない場面で(例えば、理解して欲しい、承認して欲しい等)、①で考えた相手の行動基準から考えて、相手が行動を起こしやすい(同意を得られやすい)アプローチをしてみてください(何を伝えるか、言い方、書き方、タイミング等)。
うまくいくと、今までは押しても押してもうまくいかなくて、「何でわからないんだ!」と憤っていた場面で、スムーズに進むかもしれません。
相手の行動原理に応じてアプローチを変えるのは、相手に屈することでも、相手の言いなりになることでもありません。
目的を達成するための、知恵。僕はそう考えます。